【詩】「末摘花」 [詩]
【詩】「末摘花」
女を探していた十八の春の宵、亡き人を忘れるための恰好の女を
それは赤鼻のトナカイのような女で、琴だけうまく、引っ込み思案で
鼻はトナカイというより象のようで、
季節だけ秋へと移っていった、光が透明で、それはなにの蒸留?
もちろん忘れがたき女の匂いの蒸留で
そうやって私の青春の時間は過ぎていく
雪の降る頃にはその姫君の邸に入れたのだが、
あまりの貧しさに心は凍った、
そんな思い出。私は前の女の匂いを秘かに飲み干すことで耐え
時間が過ぎゆくのを待った。
こころは決して象形できず、ライバルの男友だちさえ筋書きにははまらない
お互い激しく嘆いてこの時間を経過する
それは一九〇五年に発表された「動いている物体の電気力学」
かかるひとびとの末ずゑ、いかなりけむ。
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