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【詩】「記憶」 [詩]

「記憶」

 

記憶の中の豊橋駅は、

脳の右側でしか再現されずそれは

古代都市のような階段を持ち床はいつも

水で濡れている

階段の右側はガラスのウィンドウがあってそこに

人形が縦横に置かれて

上っていく者を見つめている

痰ツボをはじめて知った

さらに右へ行くと

ソフトクリームの店があって

父母はニューファミリーのはしりだったので子を連れて

食べにいった丸いスツールに上って食べたソフトクリームは

ステンレスのスタンドに気取って載せられ

すぐに溶けてしまうのだったこの都市に生まれたのは

偶然この父母に生まれたのも偶然ときどき

見知らぬ星の子になって

不思議にその男女を見つめるのだったそう

左側は常に暗い

宇宙と直接繫がっているかのようだった




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