【詩】「ジジイのストリート・ミュージシャン」 [詩]
「ジジイのストリート・ミュージシャン」
威勢のいいダミ声が流れてくる。
見ればジジイのストリート・ミュージシャンだ。
実際のところ、そのギター弾きが、何歳かはわからない。痩せこけた頬と、白いヒゲで判断したのだ。
フィンランドでは、ジジイがストリート・ミュージシャンをしている。
フィンランドでは、難民の異国人同士、たとえば、シリア人とイラク人が、助け合っている。
イギリスの浜辺の墓地では、ジジイは墓穴を掘っている。
『ハムレット』でもおなじみのシーンだ。
そうしてジジイは、
難民については何も語らない。
シリアはアレッポの、普通の市民を殺すのは、
政府軍? 反政府軍? ヒズボラ? イスラム国?
もうなにがなんだか、わからなくなっている。
ヨーロッパの映画監督は、どんどん難民問題を
映画に取り込んでいく。
だが、日本はどうだ?
日本では、ジジイはヒマをもてあましているかに見える。
威勢のいいダミ声で歌わない。
カーボーイブーツを履き、エレキギターをかき鳴らし、
悔しかったら、ストリート・ミュージシャンになって、
難民たちの、苦しくも悲しいロマンを、歌い上げてみろ
ってんだ。
「鷲は舞い降りた」。
今からチャーチルを誘拐する。
ハイル・ヒトラー!
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