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【詩】「ラフォルグは27歳で死んだ」 [詩]

「ラフォルグは27歳で死んだ」

 

冬が来る、と、ラフォルグは詩に書いた。それはそのまま終末の気配をまとい、100年以上が過ぎてしまった。訳者、吉田健一は、ボードレールよりラフォルグを買っていて、私の仏語教師の女性は、大学で仏文学を教える教授だが、彼女に贈った私の詩集の、子どもの頃貧しかったと書いた詩にとくに眼を留めていて、なにかのおりに電話で話すことのあったとき、「ヴェルレーヌもそうだったのよ」と言った。そんな数行など埋もれてしまうほどの量の言葉を詩のなかに書き込んだと思うが、今年の年賀状にも、「ヴェルレーヌの夢が結ばんことを!」てなことが書いてあった。つまり、貧しい出自ではあるが、ヴェルレーヌのようなりっぱな詩人になって、ということか。ヴェルレーヌって、誰だっけ? と私は思った。アプリ版「大辞泉」で調べてみると、ああ、ランボーの「恋人」だった男か。彼をピストルで撃ち損ねた事件で投獄され、神に帰依した。「象徴派」の詩人。「象徴派」などと、「流派」に分けられるのは、フランスの詩人だけ、と、T.S.エリオットは書いている。果たして、いま書いている詩を含む詩集を、件の仏語教師に贈るべきか。いや、今回はやめておこう。あの学校では「フランス語の文学を読む」クラスとして、「入門書」ばかりあげている。『悲しみよ、こんにちは』だとか──。

L'hiver qui vient

冬が来る

いずれにしろ、詩はもうどこにも残っていない。

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(写真は、パリのパサージュのひとつ)


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