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『ブレイン・ゲーム』──いい人になりたかったレクター博士(★★★) [映画レビュー]

『ブレイン・ゲーム』( アフォンソ・ポヤルト監督、2015年、原題『SOLACE』)

 

 3年前の映画である。したがって、アンソニー・ホプキンスは「まだ」七十代。レクター博士は、よほど「いい人」になりたかったとみえて、本作を制作までしている。あの、前代未聞、猟奇殺人の犯人が、べつの連続殺人事件に協力する、『羊たちの沈黙』で、狂気と残虐のキャラが決まってしまったホプキンス。以後、どの映画に出ても、「そういう雰囲気」(笑)を漂わせたイメージがつきまとう。たしか、「Sir」の称号も得ているはずなのに。で、本作のような、レクター博士のように、医者でFBI捜査に協力していて、しかも予知能力があるという役柄で、しかも、レクター博士のようにワルではなく、心優しい善意の人という役で、「終わりたかった」のか?

 題名は、「慰め」だったかな、いずれキリスト教と関係がある。連続殺人犯はなんのために殺人を犯すか? それは、将来病気で苦しむことがわかっている人々を、瞬時に「殺してあげている」のである。犯人も予知能力があり、ホプキンスは、自分より犯人の方が能力が上であることも知る。さて、この二人の、予知合戦であるが、なんのことはない、やっと姿を現す犯人は、コリン・ファレルで、殺人を犯す理由を述べるが、なんともしっくりいかない。

 

 刑事物やミステリーに「予知」なる設定を持ち出したが最後、収拾はつかなくなる。それに手を出してしまった映画で、これをうまく操るには、相当の能力がいる。本作は、題名からいっても、べつにミステリーであると言い切ってはいない。それは日本が勝手に刑事物で売ろうとしただけのように見える。




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