【詩】「W.H.オーデンを読む夜」 [詩]
「W.H.オーデンを読む夜」
その五十番目の詩で、オーデンは、
1939年に死んだ、W.B.イェイツへの追悼詩を書いている。
He disappeared in the dead of winter:
冬の死のなかに消えた彼
小川は凍てつき、彼の体の地方(provinces)は、しゃれた港とは縁遠く、
昔ながらの岸辺、母語を弔う
mourn
この言葉は、ブルース・スプリングスティーンが、『レスラー』という映画の主題歌で歌っていた歌に含まれていた……
誰か、お葬式を見たものはいないか?
ミッキー・ローク扮する、ぶちのめされたレスラー
人生の落伍者
一方、オーデンの死は難解だ
死んだ詩人の肉体を土地に分解し、
それじたいを、みずから土に返そうとするかのようだ、
The wolves ran on through the evergreen forests,
狼たちは常緑樹の森を走り続ける、
天文学的と言っていい単位の
情報が降り続けるこの森に
棲まいはじめて、われらはもはや、
ネット以前のディスクールを、
凍った森、あるいは、夜、あるいは、死に
返さねばならない。
そうその日のことを、
書きつづったのだ、この、
T.S.エリオットとは逆に、
英国人から米国人になってしまった男は。
新詩集『冬が来る』のご案内 [お知らせ]
山下晴代詩集
『冬が来る(L'hiver qui vient)』
下記サイト不都合の場合、こちらへおメール↓
rukibo@mars.dti.ne.jp
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=103865696
【詩】「大御所、有名人、賞、古本屋」 [詩]
「大御所、有名人、賞、古本屋」
「アメリカ詩選」の目次を見ていて驚くのは、日本の現代詩でかつて言われた、「マイナーポエット」のような詩を書いている詩人は皆無である。況んや、「イギリス詩人」をや。「フランス詩人」にもないし。
「大御所」にハードカヴァーの詩集を送ると、近隣の古本屋に出される。ISBNなどついていない小冊子だと、「燃えるゴミ」行きか?
そんな「大御所」にお教えしたい。オンラインのブックオフなら、ISBN付いてなくても、売れます。選択はあちらしだいだが、可能性はゼロではないです。
つまならい日常やもの思い、そいつが、詩のもとになっている、
それはそうなんだが、表現として、まんま書いてしまって、
はっきりいって、詩になっていない。
どんな散文も目指すところは、詩だ、と吉田健一は書いている。
その詩が目指されていない。
ただの感慨、ただの抽象、そう「ただの」文字
うまく立ち回れば、「大御所」「有名人」となっていき、
そういう村社会で、賞がやりとりされている。
ばかばかしい世界。そういう世界に、
のめり込んでしまっている人々がいて、日本では、
自他共に、詩人と言われる。
そんな動きを下支えしているのが詩誌で、
発行部数は、500部以下と推定されるが、
それでも信望者は300人くらいはいるだろうか?
日本の人口は、一億何千万ですが、
そのうちの、無視できるほどの数の人々が、
こういう世界を作っている。
いじましく、せこく、本人たちだけが、
酔っている世界。
まー、いずれ、あとかたもなく消えていくだろう。
りっぱな装丁の「本」は残っても。
それでも、マイナーな美学、洗練があるだろう、
ひとつ、Amazonレビューで、そいつを
擁護してみようか。
日本の元号のはじまり [歴史]
日本の元号のはじまりは、大化。それ以前は、天皇はいても元号はなかった。われわれはこれを、「大化の改新、ムシゴハン(645年)」と覚えた(爆)。