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『さよなら、僕のマンハッタン』──ニューヨークが呼んでいる!(★★★★★) [映画レビュー]

『さよなら、僕のマンハッタン』( マーク・ウェブ監督、2017年、原題『THE ONLY LIVING BOY IN NEW YORK』)

 

 マンハッタンの街で、文学作品からの引用が溢れ、スノッブたちの会話が乱れ、男女の思惑が入り乱れ……とくれば、ウディ・アレンの独壇場だろうが、本作は、まさにその通りなのだが、どこか激しい清々しさを感じさせる。それは、ニューヨークの街の隅々、どんな小さなものさえ美しく見せるカメラワークと、大学を出たばかりで、実家を出て住み始めたトーマスの、純真さ、彼を演じるカラム・ターナーの、生硬さが滲む初々しい容姿と演技も大いに影響しているだろう。

 製作総指揮の、ジェフ・ブリッジスが、キーパーソンの覆面作家を演じ、物語を不思議な魅力で彩っていく──。

 ニューヨークだから、すべてがさまになる。ニューヨークだから、「そういう物語」も信じられる。今さらサイモンとガーファンクルでもないだろうが、その曲が原題(「The Only Living Boy In New York」)であり、覆面作家が書いている作品もまさに同タイトルなのである。

 あり得ないような物語が、きっちりハマった演技派たちによってリアルさを帯びていく。トーマスの父親のピアース・ブロスナン、母親のシンシア・ニクソン、引っ越して来た謎の隣人のジェフ・ブリッジス、父の愛人の、ケイト・ベッキンセール。それぞれの俳優たちは、以前はまったく違う映画でスターであったが、今はひたすら、初な青年を盛りたてる。

 父は出版社を経営し、恵まれた環境にあった作家志望の青年だが、コネを拒否して自立の道を探る──。このあたり、日本とは大違いである(笑)。だから、文学が生きている。エズラ・パウンドもイエイツも、引用されても重みがある。

 あー、ニューヨークが呼んでいる!



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【詩】「サロメ」 [詩]

 「サロメ」


 


新国立劇場で蜷川幸雄の演出のもと、


多部未華子のサロメが、新劇的なあまりに新劇的な台詞まわしをマスターし、朗々と、コピーして平気なその『サロメ』を、果たして煉獄でどう見ているのか、ワイルドは。


「サラ・ベルナール? 誰? その人」と、多部未華子は言うだろう。この、紀伊国屋演劇賞は取った、若手女優は。


誰? その、Tabé? 天国のサラ・ベルナールは言う


けふ、413日? は、ホロコースト記念日。600万のユダヤ人がナチに殺されたんです。殺虫剤でいっきにやられた害虫みたいに。


命の重さなんて全然なかったんです。


 


LE JEUNE SYRIEN.  Comme la princesse Salomé est belle ce soir!


 


若きシリア人 今宵、サロメ王女はなんて美しいんだ!


 


ALAN DELON. Comme tu es belle !


中村晃子 おーねがい! だまってー、いて〜!


細川俊之(なんて役者がいましたね。小川真由美の元ダンナで)不思議だ、きみと逢う夜は、いつも初めてみたいなんだよ!


DALIDA. Toujours des mots, encore des mots...


 


透けたドレスで、怪しく踊るは、サロメ。


誰でもない女。


あの人の、


首がほしいわ。


 


なぜ、ワイルドは、フランス語で、その戯曲を書いたのか?


そして、彼の「恋人」の男が英訳した、


不思議な芝居。


不発、禁止。そして、忘却。


そして、ドイツでラインハルト演出による成功。それは、蜷川と似た演出だった。


義父に魅入られるサロメ


義父に殺されるサロメ


 


なんたる!


 


ワイルドは、なぜこんな恐ろしい芝居を書いたのか?


 


横取りした、リヒャルト・シュトラウスの歌劇の方が有名な『サロメ』。


 


その後、600万人ものユダヤ人が殺されるなんて、まったく知らないワイルド。彼は20世紀になる前、1900年に死んだ。


 


踊れ、踊るは、トルファンの透けた絹のドレスの若き王女


その肌色は、月の光を浴びて、テキストからはみ出す


 


その太ももの歴史の


拒絶。


ヴィオロンのためいきのひたぶるに


うら悲し


だん、だだん。


だだん。


 


HÉRODE [Se retournant et voyant Salomé] Tuez cette femme!


 


[Les soldats s'élancent et écrasent sous leurs boucliers Salomé, fille d'Hérodias, princesse de Judée.]


 


エロド(振り返り、サロメを見ながら)あの女を殺せ!


 


(兵士たち突進し、楯でサロメ、エロディアスの娘、ユダヤの王女を、押しつぶす)


 


多部未華子、悪くなかった──。





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『トレイン・ミッション 』──ダメなジジイが一番スゴイ(笑)(★★★★★) [映画レビュー]

『トレイン・ミッション』(ジャウマ・コレット=セラ監督、2018年、原題『THE COMMUTER』)

 

 のっけから、ダメなジジイ丸出しのリーアム・ニーソン。実際は65歳ながら、60歳になって警察からトラバーユした保険会社に勤めて10年たったところで、突然リストラされる役どころ。妻になんて言おうかと意気消沈のまま、ニューヨークのマンハッタンあたりから、郊外の家へと、いつもの通勤列車で帰っていく(しっかし、マンハッタンで働いている人々がみんなマンハッタンに住んでいるわけではなく、やっぱり、かなり時間をかけて郊外へと帰っていくんだなーって、この映画を見て思った)。勝手知ったるいつもの列車なので、混んでいても、空席を見つけられる。そこでやっと座ると、見知らぬ女が現れて、「ゲーム」をしかけてくる。「プリンという人物を見つけて、鞄を奪って」だったかな〜? 報酬は列車内にあるわ、みたいな。トイレに行って捜すと、床近くの空調器のフェンスの内側に、袋入りの札束があった。家のローンに、息子の大学資金、貯金はまったくない。で、喉から手が出るほどの金なので、もらってしまう。それで、女がしかけた「ゲーム」に巻き込まれていく──。

 

 キレのいいカメラワークが、のっけから、★三つかな〜と思って見ていると、やがて、第一のどんでん返しで、★は四つになり、第二、第三と、後半たたみかけていくように盛り上がっていくアクションとミステリーに、★は五つまで昇った。

 

 結局、「プリン」とは、ある権力がらみの殺人事件の目撃者であり、「プリン」はその「証拠」を鞄に入れていた。心強い味方と思っていたNYPD時代の後輩が、実はこの事件に絡んでいて、ワルと思われていた上司が、ちゃんとした人間だった。この役を、『ピアノレッスン』のサム・ニールが演じていて、ほかに、なつかしの、エリザベス・マッガバン(私は昔、マッガバンに似ていると言われたが、老けた彼女もまた私に似ているような気がした(笑))が、リーアムの妻役で登場する。

 

 リーアム・ニーソン、角度によっては、『13日の金曜日』のジェイソンに見えないこともない(爆)が、まー、実直なジジイ感がよく出ている。しかし、映画は、このジジイにトム・クルーズ(んー、いい勝負のジジイに入りつつあるが(笑))なみの活躍をさせる。まさに、「ミッション・インポッシブル」通勤列車版である。だから、邦題も、「ミッション」とついているのだ(笑)。どうせこんなジジイに大したことはできまいと、高をくくっていると、それがどんどんエスカレートして、あれよあれよというまに、インポッシブルなことをこなしている。そして、まー、最後のかっこいいオチ。胸がすくとはこのことだ。まさに、これからのジジイ映画に希望を持たせる終わり方である。音楽もいい。小僧はデカいロボット相手に闘ってろってか?(爆)



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『遠まわりして聴く』──「ブログやってる一般人」の感想です。(★★★) [Book]

『遠まわりして聴く』(和田 忠彦 著、2017年8月1日、書肆山田刊)


 


 本書でも言及されている吉田健一は、ケンブリッジ留学中、担当教授から「文学がやりたいのなら、母国へ帰りなさい」と忠告され、それで中退して帰ってきた。この教授の助言はまったく正しいと思う。


 本書の著者のように、汎イタリア(フランス、ドイツ、なんでもいいが)思想に染まっている学者の書いたものを読むたびに、その日本語力、教養の浅さにがっかりさせられる。やたらと、横文字の作家、思想家などを並べて、頭の中だけでこねくり回した抽象的な考えをだらだらと書き続ければ、それが文学的になにか価値のある論になるとでも思っているのか? 実際、こういう、学歴のある書き手は掃いて捨てるほどいる。よく出てくるのは、ベンヤミン、フーコー、ボルヘス……そして、著者はカルヴィーノの訳者でもあるので、当然、カルヴィーノ。


 本書は、月刊誌『國文学』(學燈社)に連載した文章を集めたもので、「あとがき」によれば、2004年から2007年のものである。すでに十数年が経過しており、これが、文学的に豊かなエッセイならそれも読めたかもしれないが、賞味期限切れの感なきにしもあらず。


 ほんとに、こんな本誰が買うのだろう? 私は買ってしまったが(笑)。というのも、別の本のレビューで、本書に言及し、中身を見ずに、「対談集」と書いてしまい、著者本人から「対談集ではありません」と言われ、謝罪の意味も込めて買ったのだった。届くまでは、多少楽しみにしていた。それは、いみじくも吉田健一が言う、「文学が我々を楽しませてくれる所以のものはその優雅、温み、又、こまやかということであって」(「大学の文学科の文学」『文学の楽しみ』所収、講談社学芸文庫)というようなものを期待していたのだ。多少はFacebook(カルヴィーノのファンの当方の「友だち申請」に快く承認していただいた)などで垣間見える和田氏は、誠実で温厚で飾らない人柄と思えたからだ。従って、この本も、届くまでは、★五つか四つかと思っていたが、これは……頭でっかちの外国思想かぶれの人々が書く文章と五十歩百歩だったので、かなり失望した。それでも、「お友だち」なので、★をひとつ増やしておきました(笑)。


 なにが悪いと言って、論じる対象の作品に対して、十分「読み切れて」いないのである。これはなぜかといえば、日本語の教養が不足しているのである。たとえば、私がよく知る、清水哲男の詩についてであるが、


 


  閉じられた目の上を


  凡庸な私の生涯が流れてゆきました


  詩歌の幾片かも引っ掛かっておりました


  もう頌かち合うこともない胡桃が収穫されてからは


  深夜の倉庫から


  国旗を立てられて滑り出てゆきました


  目を開けて何も見えないのでありました


  国破れてからの最後の半世紀は


  おおむねそのようでありました


 


  とさ。


 


 「最後の二文字にこめられた《情》を、さてどう受けとめたらよいのか」


 と著者は書くが、これは、《情》ではなく、清水得意の、「異化」である。それは、カルヴィーノが「新たな千年紀への文学の価値」のひとつとする、「軽さ」である。清水哲男の詩の特質は、この「軽さ」である。


 小林秀雄は、「優秀な学者ほど、方法論に囚われている」と言っている(講演集のCD)が、まさにそんな感じの、和田氏の文章である。


 


 ぬあんて(笑)。


 


 すみません、酷いことを書いて。でも本心なんです(笑)。ついでに、クンデラについていえば、日本語での翻訳の訳語を「固定」しているそうで、それを聞いたら、ちょっとがっかりしました。


 


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『レッド・スパロー 』──ヤンキー娘が英語で演じる性差別丸出しロシア女スパイ映画(★) [映画レビュー]

『レッド・スパロー 』(フランシス・ローレンス監督、2018年、原題『RED SPARROW』)

 

 スパイ映画が三度のメシよりすきな私であるが、本作は予告篇から食指が動かなかった。なんとなく、重そう、そして、「二重スパイ」は、あの人に決まってる(笑)。あけてビックリ、あまりにも紋切り型かつお手軽な(一応)スパイもの。ツッコミどころが、満載のスキだらけのスパイもの(爆)。だいたい、なんで、ヤンキー娘が「英語で」ロシアのバレリーナを演じなきゃいけないわけ? 『世界にひとつのプレイブック』で、弱冠21歳で、アカデミー主演女優賞をはじめ、数々の賞を総なめし、つづく『アメリカン・サイコ』でも評価されたジェニファー・ローレンスは、16歳だかで出た『ウィンターボーン』でアカデミー主演賞にノミネートされたが、幼すぎて受賞にいたらず、「おとなになってからの」『プレイブック』で晴れて受賞となったが、彼女の演技史的には、『ウィンターボーン』が最高で、あとはその余力にすぎない。その『ウィンターボーン』の柳の下のドジョウを狙った、『ハンガーゲーム』シリーズで、ずっとコンビを組んでいるオーストリアの監督(同じローレンス姓なので、親戚かなにか(笑)?)が、次は何かないかと考えたのが本作であろうと思われる。美貌のバレリーナ、いいねー。しかもロシアのスパイ、いいねー。であるが、もともと丸顔で、いつまでも童顔のジェニファーなので、はっきりいって濃い化粧が似合わず、それほど美貌に見えなかった。ペチャぱいだし(爆)。背は高いかしらないが、ただ大柄なだけで、それほど色気もないタイプ。イメージチェンジを意図したのか? とにかく、このスパイものは、いかんわあ。第一、ロシア人がずーっと英語というのは、確かに昔はそういう雑な映画があったが、いまでは許されない。どっちがCIAかわからない(笑)。

 

 第二に、お色気作戦であるが、いま、こういう手法を謳歌するような映画は、性差別丸出し映画として、アクティヴィストのジェニファーなら拒否すべきだった。しかし、そのあたりが、甘いというか、やはり学校はちゃんと出ておくべきではなかったのか。同じバレリーナでも、何十年も訓練しているナタリー・ポートマンが、さらに特訓して挑んだ『ブラックスワン』とは大違い。だてにハーバードを出てるわけではないのかも。さらに、やはりバレリーナを目指していたシャーリーズ・セロンの体の方が数倍美しいと思うが、彼女が去年出たスパイもの『アトミック・ブロンド』では、色はいっさい売らない。すべて、格闘技で大男の敵をばっさばっさやっつけていく。スパイものではないが、最近の『トゥームレーダー/ファーストミッション』のアリシア・ヴィキャンデルも、鍛え抜いた体はすがすがしく、ランニングいっちょうで、アクションばんばん。本作、いかに原作が、33年間CIAにいた人間が書いたか知らないが、ロシアのスパイ養成学校の科目に、「フェラチオ(←Yahoo!映画では、この言葉が「使用できない文字」でした(爆)。しかたないので、伏せ字にしました。どんなPTAが運営してるんだ(爆)?)のおけいこ」まであったのは、わろたー(爆)。

 

 第三に、伏線がほとんどなしで、すべてセリフで説明のひどい脚本。上層部ぶった雰囲気のジェレミー・アイアンズがいきなりジェニファーの前に登場し(数回顔を合わせてはいたが)、「私がモグラ(二重スパイダ)だ。国家に不満があった」てなことを告白する。え? 意外! とは、全然思わなかった(笑)。もうこの配役は、これしかないだろー。ロシア情報部の幹部の告白くらい、ロシア語でやってほしかった〜。

 

 第四に、やはり、スパイ映画につきものの、拷問(笑)が、なま易しい。『ソルト』(この二重スパイの方がかなり意表を突いた)のアンジェリーナ・ジョリーなど、北朝鮮で捕まって、顔が本人と見分けがつかないほど拷問されたシーンがある。化粧でちょいちょい、目のしたのアザを直してる程度では(このシーンが数回出てくるが)、甘い甘い(笑)。

 

 で、なんつーか、「絶賛」が多いが、このテードの映画で誤魔化されてしまう観客のレベルの低下を本気で憂える。 おそらく、ジェニファー・ローレンスは、こののち、映画俳優的ステイタスは確実に落ちていくものと思われる。だいたい、このバレリーナ役、ほんとうにバレエに惚れ込んでいたのが、それが絶たれて失意、という状況だが、それほどまでにバレエがすきなようには、全然見えなかったのも、この映画の大きな欠点のひとつだ。

 

 出演俳優としては、ごつい容貌とアクの強いジョエル・エガートンが、スリムになって、中村獅童(なにか襲名しましたかね?)よりは、許せる容貌になってCIAのあまりリアルでない局員で、お決まりのように、ヒロインと恋に落ちる役を地味に演じている。

 メアリー・ルイーズ・パーカーが、アメリカ側のお役人で情報を売るアル中女を、ひとりだけ楽しんで演じていたのが特筆に値する(笑)。


 

 


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当ブログは、FacebookやTwitterとはリンクさせずに、なにものからも自由に書いていこうと思っております。しかしながら、重なる記事がほとんどですが、SNSで見知った方々には、「読まれるとまずい」(笑)記事などもたまに載せています。コメントはほとんどないので、コメント欄は放置しておりましたが、いただいたご意見や、記事内容の間違いに関しては、お知らせくださったことをありがたく思っています。訂正が必要な場合は、できるかぎり早く、記事を訂正させていただきます。また、コメントに返事が必要な場合は、お答えするのに吝かではないのですが、ご覧の通り、コメント欄は文字が読みにくい状態(白地に白色の文字)になったままで、どうやって直すのか、今のところわかりませんので、記事内で答えさせていただきます。コメント(メールでお知らせが来ます)は確かに拝読しておりますので、ご容赦ください。


 


ご訪問、ありがとうございます。


 


誤字脱字等は、ネットゆえ、なるべく大目に見てくださいませ(笑)。




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『現代詩手帖 2018年 04 月号 』──鮎川信夫が泣いている。 [Book]

『現代詩手帖 2018年 04 月号 (思潮社、3月28日刊)

 

鮎川信夫と言えば、エラリー・クイーンの『Yの悲劇』の訳者であり、こなれた文人である。その人の名前を(勝手に?)冠した賞が発表になっていて、そのあまりのヤラせかげんに、きっと鮎川信夫氏も天国で泣いていらっさると思われる。

授賞者がどのレベルかは知らないが、思潮社の、この賞の「作り方」としては、有名人などを候補者に配して、賞の権威をわざと高めているらしいのがミエミエの「候補者」である。

 

1,和田忠彦氏(有名なイタリア文学者)『遠まわりして聴く』。これは、対談集であって、賞の対象を唱っている、「詩論集」でも「詩集」でもない。ただ、「対談相手」に詩人の清水哲男氏がいる。(ご著者ご本人より、コメントいただき、読まずに書いてしまったことを大変恥ずかしく思っています。Facebookの知識だけで、対談集と勘違いしておりました。興味はあったのですが、購入までいたらず、まことに申し訳ございませんでした。一種の詩論集ということでした。それなら十分、鮎川賞の対象にはなるものですね。受賞作には目を通しておりますので、なんというか、一般読者としては、こういう高名な方々を、「わざと」並べているようにも見えたものですから。それと、四方田氏の感想等は、たしか、林達夫と比べているものだったと思いますが、私もかつては林達夫のファンだったのですが、たとえば、「思想の運命」などを今読み返してみると、大して重要な思想家でもないように思いました。当ブログ、どこともリンクさせてなく、ここのみで、Amazonに書いたものを貼っております。Amazonレビューはのちほど訂正しておきます。ついでながら、Amazonにございましたら、買わせていただきます。なんとなく、関心はあったのですが……(笑)。アカデミックな世界の方は、なんか敷居が高くなってしまって……(苦笑)。取り急ぎ、本文訂正にてお許しくださいませ

 

2,佐々木幹郎氏『中原中也』。これは、評論かもしれないが、すでに定評ある、岩波新書の一冊である。

 

3〜4? ほかは忘れてしまったが、思潮社で出した、詩集などが二冊以上含まれている。

 

結果は、評論としてはどうかと思われる評論集(思潮社以外から出版)と、思潮社刊の詩集が受賞となった。毎回、あまりにミエミエな候補(有名人は「飾り」なので、落選させる(笑))である。

 

賞金は、いまどき、地方の賞でも100万円出しているのに、たった50万円で、授賞者が二人の場合は、分割(爆)。

受賞式は、7000円の会費をとって、学生会館で行われる。「現場」には行ったことはないが、ただ、行った人がネットに載せていた写真を見るかぎり、ろくに食い物もないようなショボさであった(笑)。

 

いつまでこんなことが続けられるのか? 発行部数は1000部以下と推定されるが。選考委員は、北川透と吉増剛造に固定されているが、なぜその本が受賞になったかは、「ごにょごにょごにょ……」(爆)で、毎回不明である。もしかして、あらかじめ、思潮社が今回はこれと、印でもつけてあるのか? 北川透氏など、真正面から写真はまったくなくて、いつもうつむいている。よほどなにかやましいことでもあるのか(爆)?

 



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【詩】「ランボーが残した5000行」 [詩]

「ランボーが残した5000行」

 

私のなかで、ランボーはレオナルド・ディカプリオの姿をとって、

黒髪、濃い眉の、蓮實重彥に言わせれば、「許しがたい容貌」のロマーヌ・ボーランジェ嬢を嫉妬のるつぼに突き落としている。

太陽と月に背いて、宇宙の法則に背いて、人間という概念に背いて、

十六歳から十九歳まで

たったの5000行を残したきり。

そして私はまた、その年齢にふさわしい、おフランスの

小僧っ子が「地獄での一季節」を朗読しているのをiPodで聴いている。まるで泥のつぶてを投げつけるように読んでいる。

彼はなにもの? おそらくアルチュールだ。

「ラシーヌ、ふふんだ、ヴィクトル・ユーゴー……溜まらない」

ドストエフスキーはロシアで、「悪霊」を書き始めていた。

ボードレールはとっくに死んでいた。

のちに「プルースト」と呼ばれる赤ん坊がちょうど生まれたところだった。



 


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『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』──帝国主義者が魅力的では困る(笑)(★★★) [映画レビュー]

 

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男 』(ジョー・ライト監督、2017年、原題『DARKEST HOUR』)

 

 かつて日本には「バカヤロー」って言って国会を解散した首相がいたが、なんかそんなヒトを思い出したナ。「貧乏人は麦を食え」って言った首相もいた。「天の声はヘンな声」と言った首相もいた。チャーチルも、逆説がお得意の名物首相。しかし、なんで、わざわざ、特殊メイクをしてまで、オールドマンが演じなければならないわけ? ほかにチャーチルに似たような演技派俳優はいくらもいそうなイギリスである。確かにオールドマンは魅力的な男である。評価の高い観客は、彼が演じてると思うだけでもうカンドーなのだろう。そう、私もオールドマンのファンだから、確かにへんなジジイにしては魅力的だった。しかし、それが困るのだ。チャーチルは、「インド人は嫌い」と言って、当時イギリスの植民地だったインド、ベンガル地区への食糧供給を拒否し続け、300万人を餓死させたと言われている。ダンケルクで自国の兵士何十万かは救ったそうだが。映画でも、嫌われた理由を、首相になる前に、作戦の失敗によって何百万の若者を無駄に死に追いやったと糾弾されている。

 

 「どんな犠牲を払おうとも国を救うことが重要だ」という、映画でもたびたび出てきたチャーチルの考えだが、アジア大西洋戦争時に、昭和天皇と東条英機以下の軍部もそう言っていた。少しの違いは、イギリスは侵略される側だったが、日本は侵略する側だった。戦況は悪いのに、よいように見せかけたというのも、似たような手法である。だいたい、庶民の考えを知ろうと、たまたま乗った地下鉄の一両に、あんなに意見ぴったりの人々が乗っているだろうか?

 

 監督のジョー・ライトは、これまで、歴史的好編を製作してきたが、今回の作品は、脚本にもダレた点があり、寝落ちしてしまった(笑)。音楽、とくに、演説で会場の意見を転換させたチャーチルが、「紙吹雪」のなか颯爽と(?)去っていくエンディングの音楽は劇的でなかなかよかった。



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さくら祭り20180327@福岡城 [日常]

ま〜つりだ、まつりだ♪

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